スイス登山の基本情報
山のドイツ語・フランス語
覚えていれば便利な基本的な表現

なるべく本物の発音に近くなるように、カタカナでフリガナをふってあります。フリガナの中の赤太字の部分は強く発音する箇所です。イントネーションをつけてこの部分を高めに言ってみてください。

■こんにちは
「こんにちは」
標準ドイツ語:Guten Tagーテンターク)
スイスドイツ語(チューリヒ):Grüezi(グリュッツィ)
スイスドイツ語(ベルン):Grüässäch(グリューッスハ/グリューッサハ)
フランス語:Bonjour(ボンジュー、ンジュー)
山道で他の登山者に遭った時、山小屋に着いたとき、誰かに何かを頼む時、「はじめまして」と言いたい時、とにかくなにか会話を始めるときに、最初にこの一言をつけておけば間違いない。とくにフランス語の「ボンジュー」は日本語の「こんにちは」とはちがって、朝から晩までひっきりなしに使う。ドイツ語では「おはよう」「こんばんは」は違う語彙があるが、スイスなら初対面の人に対しては「グリュエッツィ」「グリューッスハ」だけでもまあOK。

ベルンの「Grüssäch」は発音がとても難しい。最後の「ch」は、痰を吐く前に「かーっ」とやる(…おじさんが昔日本に沢山いたのだが…こう書いて果たしてわかっていただけるのか書きながら疑問)時のあの「かーっ」という音で、「グリューッサ」の後に息を引くというか抜くというか、そういう感じで発音する。

■ありがとう、どういたしまして
「ありがとう」
標準ドイツ語:Dankeダンケ)
スイスドイツ語:Merciルシ、メル
フランス語:Merciルスィ)
道を譲ってもらった時、山小屋で食事を受け取った時など、人から何かしてもらったらすかさず言う言葉。日本語では「すみません」と言うような場合でも、ドイツ語やフランス語では「ありがとう」で済ませる。

スイスドイツ語の「メルシ」の「ル」は巻き舌で発音する。フランス語の「Merci」の「r」の発音は、上で出てきたドイツ語の「ch」を薄めたような、うがいをするように喉を鳴らす音だが(メルスィがメッスィと聞こえるような感じ)、出来なければスイスなら巻き舌でも良く通じる。

人からダンケ、メルスィと言われたときに返す言葉は

「どういたしまして」
ドイツ語:Bitteッテ)
スイスのフランス語:Serviceルヴィス、セルヴィス)
■あぶない!!逃げろ!!
「あぶない!!」
ドイツ語:Achtung!!(アハトゥン!!)
フランス語:Attention!!(アタンシォン!!/アトンシォン!!)
何か危険なことがある場合に、とりあえず最初に叫ぶ言葉。「アハトゥン!」とか「アタンシオォン!」とか叫びかけられた場合は、とにかく一旦動きを停止して、周囲を確認する。

ドイツ語の叫ばない「アハトゥン」、フランス語の「Faites attention(フェットァタンシォン)」は「注意深く」「気をつけて」という意味。

落石や雪崩などの危険が身に迫っていることを報せる言い回しには、日本語の「逃げろ!!」のような一般的な定型表現がドイツ語にもフランス語にもない。ドイツ語なら

Achtung!! Gefahr!!(アハトゥン!! ゲファール!!)
という言い方(直訳すると「危ない!!危険!!」)がいちばん近く、またよく使われる。さらに
Bringen Sie sich in Sicherheit!!
(ブリンゲンジージッヒ インジッヘルハイト!!)

Gehen Sie in Deckung!!ゲーヘンジーインデックン!!)

など、「安全な場所に逃れろ」という意味の言葉が続くことも多い。

フランス語の場合は俗語で、

Tirez-vous!!ティ!!)
Dégagez-vous!!デガジェヴ!!)
という言い方がよく使われる。どちらも「ずらかれ!」という意味だ。また、ドイツ語でもフランス語でも、危険から逃れるために「走れ!」という言い方も良くされる。 複数への呼びかけなら
Rennen Sie! レンネンジー!)
Courez!レ!)

危険に晒されているのがあなた一人なら

Renne!レンネ!)
Cours!ー!)
が「走って逃げろ」という意味になる。
■止まれ!!動くな!!
「止まれ!!」
ドイツ語:Stop!!(スップ!!)、Halt!!ルト!!)
フランス語:Stop!!(スップ!!)、Halte!!ルト!!)
「止まれ!!」はドイツ語でもフランス語でも「ストップ!」「ハルト!」を使う(フランス語にこれに代わる言葉がないというのがおもしろい)。「ハルト」の「ト」は、「To」ではなく「T」だけ言うつもりで、「ル」は英語の「Help」の「L」と同じように舌を上あごに押し付けるだけだ。「ハ・ル・ト」と3音節ではなく、「ハル・ト」と2音節で言ってみよう。

こう言われたら、今いる場所から動いてはいけない。さらに

「動くな!!」
ドイツ語:Bewegen Sie sich nicht!!(ベヴェーゲンジージッヒヒト!!) フランス語:Ne bougez pas!!(ヌブジェパ!!)
と言われたら、「だるまさんが転んだ」のように動作を完全に停止する。あなたが不安定な脆い場所に立っていて、動いたら大変なことになるかもしれない…という意味だ。
■おーい!!
「おーい!!」
ドイツ語:Uu!!ウッウー!!/・ウー!!)
フランス語:Héo!!エッオー!!/・オー!!)
何か問題があって、遠くにいる人に大声で呼びかけて自分のところに来てもらいたい時、両腕を頭上でぶんぶんふりながら叫ぶ言葉。あるいは、どこかの見知らぬ小屋にたどり着いたりして、「誰かいますか?」と呼びかけて確認したい場合も「ウッウー」「エッオー」が使える。「ウッウー」は口を尖らせてきちんと2回はっきり「ウ」を発音すること。

後述の「ヒルフェ」「オスクーゥ」や「ヘルフトウンス」「エデヌゥ」と組み合わせて使える。

■助けてくれ!!
「助けてくれ!!」
ドイツ語:Hilfe!!ルフェ!!)
フランス語:Au secours!!(オスーゥ!!)
問題が発生して動けない。山道から外れてしまって見たところ周りには誰もいないけれど、もしかしたら近くを誰かが通るかもしれない。万が一付近を通りがかった人に救助が必要なことを伝えたい。そんな時に叫ぶ言葉。

「ヒルフェ」の「ル」は、英語の「Help」と同じように舌を上あごに押し付けるだけだ。「ル」とは言わないようにしよう。

「ウッウー」や「エッオー」、後述の「ヘルフトウンス」「エデヌゥ」と組み合わせて使える。

■助けて下さい
「助けて下さい」
ドイツ語:Helft unsルフトウンス)、Helft mirルフトミール)
フランス語:Aidez-nousヌゥ)、Aidez-moiデモ
叫んでもいいし、近くに来てくれた人に普通に話しかける場合にも使える表現。「ヘルフトウンス」と「エデヌゥ」はあなたに連れがいる場合で、あなたが一人きりなら「ヘルフトミール」、「エデモワ」を使う。

ドイツ語で「助けてください」は正しくはHelfen Sie unsルフェンジーウンス) / Helfen Sie mirルフェンジーミール)だが、切迫している時はつづめて上記のように言っても大丈夫だ。これで、とりあえず手助けが必要なことは伝わる。

■英語は話せますか?
「英語は話せますか?」
ドイツ語:Sprechen Sie englisch ?
(シュプレッヒェンジー エングリシュ?)

フランス語:Parlez-vous anglais ?(パルレ アングレ?)

会話の相手に向かって言う言葉。会話相手が一人でも複数でも使える。疑問文なのでドイツ語、フランス語とも尻上がりのイントネーションで発音する。 ドイツ語の「エングリシュ」、フランス語の「アングレ」の部分が「英語」を意味しているので、「日本語は話せますか?」は
「日本語は話せますか?」
ドイツ語:Sprechen Sie japanisch ?
(シュプレッヒェンジー ヤパーニッシュ?)

フランス語:Parlez-vous japonais ?(パルレジャポネ?)

ちなみにドイツ語で「フランス語」は「fransösisch(フランズージッシュ)」、フランス語で「ドイツ語」は「allemand(ルマン)」と言う。 会話相手が英語や日本語が「話せない」場合は
「いいえ(話せません)」
標準ドイツ語:Neinナイン)
スイスドイツ語:Nei(ネ
フランス語:Nonン)
という答えが返ってくる。
■英語を話せる人はいますか?
「英語を話せる人はいますか?」
ドイツ語:
Hat es jemanden der englisch spricht ?
(ハッテスイェマンデン、デゥエングリシュシュプリヒト?)
Spricht jemand englisch?(シュプリヒイェマントエングシュ?)

フランス語:Est-ce qu'il y a quelqu'un qui parle anglais ?
(エスキリヤケルカン、パルルアングレ?)

「エングリシュ/アングレ」の部分を「ヤパーニッシュ/ジャポネ」に置き換えると、「日本語を話せる人はいますか?」になる。

その場にいる会話相手が一人も英語や日本語を話せなかったり、電話の通話相手に英語が話せないと答えられた場合にはこう訊いてみる。すると、あなたの直接の話し相手ではない人にまで範囲を広げて、英語や日本語ができる人がいるかどうか探してくれる。